こんな話あんな話

わが国の企業や銀行は、新会計基準の下では、利益を生まない部門や不採算な部門は足かせになるとして切り捨てています。
また、巨額の損失が生まれるおそれがあるとして、利益を確保するために人件費の削減(リストラ)に走っています。
ひたすら内部留保を増やすことに腐心しているうちに、雇用破壊と消費の低迷を招いたのです。
また、有価証券が時価評価されると、評価損が本業の利益を吹き飛ばしかねないため、保有する有価証券を猛スピードで売却してきました。

銀行も生保も事業会社も競って株を売却し、売られた会社も売り返すという悪循環。 株価は暴落し、「時価会計」を導入したにもかかわらず、「時価会計」による決算がいっそう困難になるという逆説的な事態まで生じています。
昨今の不況は「時価会計不況」と言っていいほどです。

田中 弘 著 『時価会計不況』

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