こんな話あんな話


日本では技術者は組織の歯車の一つであることを求められ、一つの企業の中でその生涯を終える。

大きな発明をしても権利は企業に帰属するし、役員や社長になるのは世渡りが上手い社員であり、優れた技術者に枢要なポジションが与えられるわけではない。


いつしか会社は新しいアイデアを形にすることが苦手になっていく。
組織の官僚化である。
佐々木のような型破りの役員がいなくなった後、シャープでも官僚化が進む。
技術者たちは、液晶テレビの性能を上げることばかりに邁進し、次々と新機軸を打ち出してきたシャープのDNAは見る影もなく劣化してしまった。
技術者たちは社内の「競争」に明け暮れ、佐々木が教えた「共創」を忘れてしまった。

『ロケット・ササキ』 大西 康之著

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