こんな話あんな話

私にとって一番印象的だったのは、誰からも名前を呼ばれないことだった。

どこにも勤めず、無所属の時間を過ごしていると、自分の名前が全く呼ばれない。

社内では、「○○さん」「○○調査役」などと当然のごとく声をかけてくれた。

それがいかにありがたいことだったかは退職して分かった。

家族からは「お父さん」と呼ばれ、電話やファックスも自分宛には来ない。

退職した当初は、引き継いだことや仕事の確認のため電話が入るかもしれないと思っていたが、それも一切なかった。

退職した年の年末に行った病院で、順番が来た時に看護婦さんから「○○さん、次が診察ですのでこちらでお待ちください」と声をかけられたのが唯一だった。

これは笑い話ではなくて本当だ。

『定年後』50歳からの生き方、終わり方 楠木 新著        

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