こんな話あんな話

地名は土地の記憶を残す文化遺産である。
東京には谷や丘、山、台や沢などがつく地名が多いように思う。

特に谷がつく地名は、渋谷、四谷、日比谷、千駄ヶ谷、阿佐ヶ谷など、大阪に住んでいる私でもいくつも思い出すことができるくらいだ。まさに「谷の町」である。

では大阪はどうだろうか。谷町、清水谷、細工谷、鰻谷など、谷がつく地名はいくつか見受けられる。しかし、地形を表すものとして最も多いのは「島」であろう。

特に上町台地の西に広がる大阪湾岸低地には、堂島、中之島、江之子島、網島、福島、加島、竹島、御幣島、歌島、姫島、中島、百島、出来島、西島、四貫島、桜島、酉島などのほか、消滅した地名を合わせるとまだまだあるのだ。

これらは、この地域一帯が淀川のデルタ地帯であった名残であり、島の名前がいつしか地名に変わったと考えられる。

凸凹を楽しむ『大阪「高低差」地形散歩』 新之介著  

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