こんな話あんな話


知っているから偉いのか

                     小学校の担任教論からの言葉

「東大卒のクイズ王」としてTVなどでよく見かける“伊沢拓司さん”が投稿していたコラム記事です。
(朝日新聞(夕刊) 令和2年10月29日 一期一会より)

東京の名門私立として知られる暁星小学校。
土砂降りの日だった。
授業中、先生が「夏も近づく八十八夜」と口ずさみ「題名を知っている人は」と尋ねた。
やれやれ、いつもの脱線かと、机にほおづえを突いたまま手を挙げた。
ほかに挙手をする者はいない。
内心、誇らしかった。

とたんに雷が落ちた。「なんだその態度は!立て!」。
クラス中の視線を浴びて起立した伊沢拓司少年に、先生が言葉を継いだ。
「知っているから偉いのか。なんて偉そうな態度をとっているんだ」
説教は10分間も続いたように感じられた。
先生の言葉にうなずくクラスメートもいたようだった。
何も答えられず、ただ謝って席に着いた。

「『茶摘み』です」

「この世の万物からたった1個を知っているからって、それがなんなのかと真剣に伝えてくれました。クイズの世界に入る前に先生の言葉に出合えてよかった」

(中略)

小林清教論(56)は今も日々、児童に向き合っている。


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