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 定期借家制度の動向 <2002.9>

地価の下落は、所有から利用への動きを促す。
『定期借家制度』が、本来の狙いであった“良質で多様な賃貸住宅の供給促進”は持家促進という逆風の中、順調には進んでいないようです。
しかし、当初の目論見とはチョット違う方向で『定期借家制度』が、活用されて来ています。
2000年3月施行された「良質な賃貸住宅等の供給促進に関する特別措置法(定期借家法)」は、従来の借家法と並存していることもあり、すぐには普及しないだろうと当初から思われていました。
それに昨今は景気が悪く、特に賃貸住宅においては家主は空室を埋める為に、賃料を低下させ、借主に対して仲介手数料をサービスし、その分も家主が負担することまであるくらいです。
そんな時に、『契約期間終了後なら家主は理由に関係なく退去を強制できる契約』(定期借家契約)を結ぶのは、一般の借主にとって理解することが煩わしくて、この時節この制度の普及は難しい状態です。
それでも、転勤族の人達の空家となる持家を賃貸住宅として有効に利用することが期待できますし、高齢者が広い持家に1人で住んでいる場合、(例えば、子供が海外勤務から帰ってくるまでの間)持家を借家にして賃料を得ながら自分は高齢者向けの施設に住むということも選択肢の1つとして考えることが出来ます。

定期借家契約の特徴    ( )内は従来の借家契約

■ 契約で定めた期間の満了により、更新されることなく確定的に借家契約が終了します。再契約は可能です。(正当事由がない限り更新)

■ 期間を半年にするなど、1年未満の契約も有効。(最短1年、1年未満は期間定めなしとみなす)

■ 建物賃貸借期間の上限は無制限(2000年3月1日以降の契約は無制限、それ以前の契 約は20年)

■ 書面による契約に限る。(口頭も可)

■ 契約期間が1年以上の場合、期間満了の1年前から6ヶ月前迄の間に契約終了の通知をする必要がある。

■ 200平米未満の居住用建物は、転勤・親族の介護等やむを得ない事情により、中途解約することができる。(契約の定めによる)

ところが、売却を考えない企業保有の建物有効利用や、契約期間を確定して不動産市況・金利環境の影響を受けずに、投資利回りの確定の為にこの制度を使っているケースがあります。
(契約期間10年程度)
投資家に利回り見通しを明示できるので、不動産証券化や不動産小口化等の投資商品に向いているのです。
今後、不動産の証券化が一層加速しそうですので、各テナントとの賃貸契約の中で『定期借家契約』を利用するケースが増えそうです。    

 

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