不動産マメ知識コーナー
仲介手数料
2004.5.
仲介手数料は取引当事者にとっても重要なものですが、不動産仲介業者の“生活の糧”そのものでもありとっても重要なものです。
信じられない話ですが、収益ビルを買いたいということでお会いしたある買主様に「私は(仲介)手数料はお支払いしませんので、そのつもりで良い物件を紹介して下さい!」って言われたことがあります。
私は「それでは私共(仲介業者)は何処から“生活の糧”をいただけるのですか?」とお聞きしました。
お答えは「売主から貰えばいいじゃないか…」と。
(私)「えっ?・・・・」(唖然、言葉もでない・・・)
■ 賃貸契約の場合 ■
宅建業法によると『家賃の1ヶ月以内』相当額(注1)がその報酬と決められているのですが、現実には(名目は違っても)それ以上に実質的手数料が発生しているケースが多いのです。
大企業の大型ビル・人気エリアの物件は宅建業法の規定に沿って仲介手数料が支払われていることが多いと思われますが、家主サイドから考えると、それは競争力のある物件だから許される事で、競争力に劣る中小・零細の物件は宅建業法遵守では空室状態が長引くことが予想され、余分に費用を発生させてでも早期の客付けを不動産業者に依頼しています。
また不動産業者サイドから見ると、不景気・価格下落の状況で手数料減+激しい競合の最中、新たなる収入源の確保を目論んでの行動です。
不動産業界の一員として現行“賃貸手数料”の持つ課題はとても大きいと思います。
(注1) 『家賃の1ヶ月以内』相当額
不動産業者でも勘違いしている場合が多いのですが、この『家賃の1ヶ月』相当額は「貸主」と「借主」からの支払い額の合計だということです。
その意味で「借主からの手数料が半額」とか「…手数料はいただきません」とか言うキャチフレーズは別に驚くに値しませんが、「貸主さまも手数料は半額」とか「…いただきません」でなければ手数料の合計が『家賃の1ヶ月以内』相当額にはなりません。
|
ただし、貸主の依頼により行なう広告費・(遠隔地の物件等の)調査費用・宿泊費・交通費などについては別に請求できることも確かですので、全てがバランスのとれていないものとは言い切れませんが。
■ 売買契約の場合 ■
売買の場合は賃貸と比べて分かりやすいと思います。
物件価格200万円以下
|
物件価格の5%
|
〃 200万円超〜400万円以下
|
〃 4%+2万円
|
〃 400万円超
|
〃 3%+6万円
|
※仲介手数料は消費税の対象になります。
この計算式から算出された金額を売主・買主双方から支払われることになります。
ただ、この金額は手数料の上限とされているので売主・買主は不動産業者に対して手数料を値交渉することができます。
冒頭の強烈な買主様のような人は殆どいらっしゃらないと思いけれど,不動産業者も手数料を支払って頂けない買主様には良質の物件情報は提供しないでしょうから、少なくとも常識の範囲で手数料を払う姿勢はお持ち頂きたいものです。
手数料についてはいろんな話しが出来ますが,今回は「同じ物件情報を複数の仲介業者から得た場合」と「支払時期」について取上げることにします。
同じ物件が別々の不動産業者から提供されることはよくあることですが、不動産取引に不馴れな方が対応を間違うと大きなトラブルになります。
プロの買主でしたら、基本的に先着順に話しを進めていくことで、どうも商談がまとまらないとか、仲介業者の対応に納得ができない場合など、明らかに話が暗礁に乗り上げたことが明白であれば後順位の仲介業者に依頼し直すこともあります。
この場合では、先の仲介業者にハッキリ断りを入れておくことが大事です。
一般の人が買主の場合、後で同じ物件情報を持って来た仲介業者の話しに乗ってしまうとか、同時並行して話しを進める人なんかも稀にいらっしゃいます。
後々商談が成立して蓋を開けてみると、先に情報を持ってきた業者は“抜かれた”なんてことになり、その業者から正規の仲介手数料を請求されたりなんてこともあります。
自分自信で蒔いた種ではありますが,感情的には不動産業者を恨んでしまうことになるでしょうから、順序立てて商談をすすめて下さい。
仲介手数料の支払は取引終了時(=決裁時)に行なわれることが殆どです。
よく契約時50%、決裁時50%と分けて仲介手数料を受け取る不動産業者もおりますが,それはその不動産業者の決めたルールであって特に法的に決まったものではありません。
以前のことですが,権利書が出来るまでとか,付帯条項に縛られて決裁後暫く手数料受領を保留したこともありましたが、そんなのはイレギュラー中のイレギュラーで普通はそんなのはありませんので、決裁時には支払を済ませて下さい。(外国の方だったので、日本の登記システムが理解できなかった為でした。)
|