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 敷地権と古年マンション

2004.11.

先日、分譲マンション(区分所有建物)の売買を仲介させていただいた時のことです。
売主様は収益用として賃貸しながら長年所有されていて、とってもお気入りの物件だったのですが、縁あっていい買主様に巡り会うことが出来ました。
今ではマンションの《権利証》〈…権利書に同じ〉は「敷地権」設定により、土地+建物で1つになっているのが普通ですが、このマンションの《権利証》は、土地と建物が別々になっていました。
分譲マンションは昭和58年の区分所有法「建物の区分所有等に関する法律」改正より、建物とその敷地を一体として利用し、分離して売却したりできないことになりました。
(但し,「敷地権」は強制ではないので、例外もあります。)
これを「敷地権」として、土地と建物の権利関係が一体化することになり、今では分譲マンションは登記簿においては建物の登記簿表題部で「敷地権」について記載され、土地登記簿への記載は省略されています。
同じく《権利証》も同様に土地・建物でひとつになっています。
それでは先日のケースは、どういうことなのか…。

確かに対象物件は昭和58年前の建物で、新築当時「敷地権」の設定は出来なかったのですが、前述の法改正以降は法務局の職権で対象物件について順次「敷地権」の登記を行なったと聞いていますが、それもなされていないし…?!

理由はこうでした…

建物:■Aサン 6分の5 ■Aさんの妻  6分の1 という共有持分

土地:■Aサン 17332079■Aサンの妻 3462079 という共有持分

このように土地・建物の所有権内容(←今回のケースではその割合)が同じでないので、土地と建物を一体化する「敷地権」に出来なかったということです。

法改正以前に土地建物それぞれの所有者や、共有割合、抵当権設定内容が違うと「敷地権」設定がなされていないことが稀にあるようです。

所有者が全く異なっていたりすると、大変面倒ですので、古年の分譲マンションを購入する時には、事前に注意する必要がある!




【チェックポイント】

   古年の分譲マンションを売買しようとする人は、敷地権設定の確認並びに内容を登記簿謄本で行 なう。

※登記簿謄本・権利証共にその物件の所有者の氏名が記載されているとは限りませんが…ここでは、別の問題ですので今回は触れずにおきます。

   権利証の保管している場所を思い出し、実際に現物を確認する。

   「敷地権」設定のない物件を所有している人は、「権利証」が土地・建物別々ですのでそれぞれ  現物を確認する。

   「敷地権」設定のない物件を購入する人は、購入に際し土地・建物を一体化(敷地権設定)させ  るため司法書士サンに支払う(少額ですが)費用負担が発生します。

「権利証」は不動産取引の主役で、決済時には必ず必要なものです。

注)「権利証」を紛失したりしたときは、“保証書”で代用することもできます。
   私はその経験はありません。

「権利証」を探したけれども、出て来ない・・』って人がいました。よく話してみると出て来たのですが、それはなぜか?
「権利証」は「登記済証」のことで、法務局で登記完了時に「登記済」の印を押してある書類のことです。
そんなに頻繁に出して見るものでもありませんし、(普通はそうだと思いますが)司法書士事務所の分厚い紙袋の入っていて、その表に「登記済権利証書」とか、「不動産登記済証書」とか書いてあり、「権利証」とは書かれていないので分からない方もいても不思議ではありません。

 

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