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 今年の不動産対策はディフェンス重視!

  2005.1.

昨年末、現在上海にお住いになっているKサンから久し振りに電話をいただきました。Kサンは16年前まだ私が会社勤めをしていた当時、営業マンとして賃貸マンションの建替えをさせていただいたお客様です。
最近そのマンションの空室期間が以前より長引いていて困っているとのお話しでした。
昨年末、同様のご相談がいくつかありましたが、魔法のような特効薬が有る訳でもなく、地道な対策を講じていくしかありません。 今回もまずできることから、やってみることにしました。
先の物件のこともさることながら、久し振りの色々なお話しでKサンを取巻く環境が当時とはかなり変化していたことに驚き、おそらく私も10年後、15年後には予想もしていなかったような自分に出会うことだろうと痛感しました。

J‐REITを含む不動産投資ファンドは、物件を取得することが非常に厳しい状況で、現在では『利回り低下=物件価格上昇』(注1)の傾向のようですが、ここに至って景気が停滞しているとの記事を見てしまうと、これから賃料の低下、空室率の上昇という収益物件の根幹そのものが揺らぐような事態にならないで欲しいものだと思ってしまいます。

(注1
J−REITの利回りは、当初5%台でしたが、ここのところ3%台に低下しています。つまり、最初に購入してすでに売却した方は、結構儲かっているはず。

ところが、兎にも角にも高基準の物件を取得している上場ファンドとは違い、昨今人気の「投資用マンション」や、「アパート経営」などのオーナーの皆さんは少し事情が違ってきます。
現在でも所有物件と同系統の物件や、より新しい物件が近隣や近場にドンドン建ったりして、入居者の確保に苦慮し始めていますし、今年からはより強い逆風のなかで、期待した収益を確保するのがいかに難しいかを知る年になるように思われます。
そんな『大家サン』が多数出てきて、「やっぱり、不動産投資は危ない…」なんて週刊誌の記事になったりするではないかということまで心配してしまいます。(必要以上に煽りたてるんですよ、こういう記事は…)
オフィスビルをお持ちの『大家サン』は、既に腹をくくって久しいのですが、平均的所得者層として「不動産投資家」になられた方や、土地有効利用として賃貸マンション経営者となられた『地主サン』は、結構キツイ状況も覚悟しなければならないかもしれません。

日本の賃貸住宅市場の空室率(注2)についての公的統計は、私はまだ見たことがないのですが、住宅金融公庫の“全国住宅市場調査結果”でおおよそのトレンドは掴めます。

項 目

163月調査

166月調査

169月(今回)調査

最近3ヶ月の実績(13月)

最近3ヶ月の実績(46月)

最近3ヶ月の実績(79月)

今後の見通し

(1012)

(13)

賃貸住宅

受 注

▲0.1

▲10.7

0.2

11.6

13.0

空 室

▲12.9

▲16.1

▲18.1

■数値はインデックスであって、%ではありません。詳細は、上記の住宅金融公庫調査結果をご覧下さい■

(注2)
日本全体の空室率は12%で世帯数よりも住宅数の方が660万戸強多い。
借家のそれも大体同レベルと思いますが、元々大都市はその平均値より空室率は高いと云われていて、結構ハイレベルです。

賃貸住宅の建築は相変わらず好調な数値であり、そこに大量供給を続ける分譲マンションは賃貸入居者を奪うだけでなく、自用目的から転用してくる賃貸物件予備軍も加わってくるので、既存の賃貸物件の経営環境はかなり厳しくなる一方です。
悪い事に今年から政府の増税路線(注3)は明解かつ具体的で、多くの平均的勤労者世帯の可処分所得は下落すると予想できます。
結果的に、『大家サン・投資家の皆さん』の期待する家賃収入は、大量供給された物件(注4)と、所得が萎縮する狭間でしぼんしまうというのが、今年からの流れになる可能性が高いと思われます。
それにプラスして、ローンの金利が上がってしまうとより問題は深刻になります…

(注3)

      厚生年金保険料の引上げ
         …
9月、年収560万円で年間1万円増
      国民年金保険料の引上げ…年間で3360円アップ
      雇用保険料の引上げ…月収40万円で月400円増加
      国立大学学費値上げ…15千円増加(年間授業料標準額)
      自賠責保険料の値上げ…最大4000円引上げ(2年契約)
      定率減税の縮小
      個人住民税の引上げ
      住宅ローン減税の縮小
☆ 今後の予定?→定率減税廃止・消費税上げ・環境税導入


(注4)
既に判っていることですが、少子化が本格的に迫ってきていて、住宅着工戸数も2010年頃から急激に減少するといわれています。
その頃には中古市場も物件が多くなっていて、価格競争も熾烈になると思います。
そのイントロが、来年から始る“中古住宅へのローン減税拡大”ではないかと思っています。.

そこで踏みとどまるには、大家サン・投資家の金銭的耐力が必要です。

  家賃収入が大幅に低下しても、ローンが払えるのか?

  もういやだ!って思ったときに、債務超過物件を売却できるだけの資金があるのか?

■破綻した(当然、高利回りになるはずの)投資物件を買い増しして、トータルで損失を低下させる対策がとれますか?

※これらは、よく見ればバブル期から不良債権化した「不動産」とその対策そのものです※

購入する理由・建築するメリットが明解な場合は従来通り、慎重に計画を進めていただきたいのですが、安易な「マンション投資」「アパート経営」は絶対に控えた方(注5)がよさそうです。
ただ、リスク許容度の広い富裕層の人達(注6)は、少し違う観点で取り組むことも出来るものの、ベースになる考え方は同じでしょう。

(注5)
“利益”ばかりに目を奪われずに、損をしたときにリカバリーできるかどうか考える必要があるという意。

(注6)
2003年末の日本の富裕層(100万ドル以上の金融資産保有者)の人数は、前年比5.8%増の131万人。世界の富裕層の約3割が米国、2割弱が日本で占めている。
《メリルリンチ日本証券平成
166月発表》

    絶対に無理して購入しない!
【損することもあるし、得することもある。全ての人が儲かることは絶対にないから】

    理屈・理論だけに頼らないで下さい!
【世の中の制度・税制・法律は結構簡単に変わるから…】

    利回15%の物件より、10%の方がいい物件かもしれない!
【余裕のある人に限って、目先の利益にこだわらない…】


    営業マンに「どういうリスクがあるのか」を聞いてみましょう!
【購入・請負して会社からお金を貰う人と、賃料収入でお金を稼ぐ人では見方が違う】

■今年も気持ちにゆとりを持って、いろいろ考えてみましょう!■

 
 
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