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 『信託受益権販売業者』って何者?

2005.3.

昨年大リーガーのイチローが84年ぶりにシーズン最多安打記録を打ち立てたなら、今年は82年ぶりに日本の信託業法が大幅に改正です。
従来の(運用型)信託業は信託銀行のみが行なっていたのですが、免許を取得すれば一般事業会社も参入できるようになり、受託可能対象の財産も広がっています。
(但、特定の財産管理・処分等に限っての“管理型信託業”については、登録制となっています。)

また、信託契約締結を代理で行なう「信託契約代理業=代理店」(登録制)というのも新設されましたが、今不動産業界で最も感心が高いのが「信託受益権販売業者」です。

    信託受益権販売業(登録制・3年更新)

【信託の受益権の販売又はその代理若しくは媒介を行なう営業】

投資家がある収益用不動産などの信託財産からの

利益を受け取る権利を販売・代理・媒介する業務

京ほどではないにしても、大阪でも信託受益権の占める割合は不動産取引の大きな部分、それも取引件数ではなくて、特に金額面で大きくなっていて、今後不動産業者にとって信託受益権の取引を敬遠していては、『業』として成り立たないのではないかと真顔で心配している人もいるくらいです。
また、不動産仲介業は小規模業者の多い世界ですから、信託受益権販売業者としてそれなりの知識が必要だという点と、営業保証金1000万円を供託する必要がある点が登録する際のハードルとなります。
勿論1000万円という金額自体もそれなりに問題ですが、費用対効果から考えて元が取れるのかという点です。
信託受益権の取引が増えたと言っても、今のところ大方は収益用不動産をSPC(特定目的会社:信託受益権の購入の為の受皿法人)に譲渡する際に、売主が信託受益権設定をして、それを希望したSPCがそれを購入するようなケースが多いと考えます。
その場合、不動産仲介業者は信託受益権販売業登録の必要(注1)はないということですから、将来的な問題として信託受益権そのものの売買や、各投資家にそれを販売する場合に必要になってくるわけです。

 (注1) パブリックコメントの概要及びコメントに対する考え方から「抜粋」

【質問A】

不動産が買い手に紹介されたにもかかわらず、信託受益権の取得(保有)を目的とした買い手の要望により、信託設定されていない不動産の保有者が当初委託者となり不動産を信託財産とした信託受益権を設定し、この両者の間で信託受益権の売買契約がなされた場合は、あくまで当該保有者(又はその委託を受けた者)は不動産を売却しようとして不動産の販売行為を行なったのであり、その販売行為においては信託の受益権の販売又は代理若しくは媒介の販売行為は行なわれておらず、当該保有者は信託受益権販売業者に該当しない(他の業務において信託受益権の販売行為を行なわない場合に限る)との解釈で良いか。

【回 答】

当初保有者が信託受益権の販売行為を営業として行なう場合には、信託受益権販売業の登録が必要となります。    
ただし、監督指針
10-2-1に該当する場合には、登録は不要です。

≪10−2−1:登録の要否≫

信託受益権の譲渡で、保有者が売主となり、販売の一切を信託受益権販売業者に委託したり、物件を売却する為に信託受益権を保有した場合には信託受益権販売業者登録は必要ない。

【質問B】

質問A記載の当該保有者から不動産の売却の媒介を受けた者が信託受益権販売業者の登録を受けていない場合でも、その者に対し、宅地建物取引業上や他の法令に反しない場合には、報酬を支払うことが信託業法上で問題は無いとの解釈で良いか。

【回 答】

そのようなご理解で結構です。

信託受益権所有者から売却の依頼を受けて、それを次の購入者や多数の投資家に販売することのできる不動産業者は、かなり限定されたところになるのではないかと想像します。
中小零細業者にとって元を取れるのは結構難しそうですが、これからの市場として美味しい部分でもありますので、(実際にそうなるかどうかは分かりませんが、)結果的に不動産仲介業者の絞る込みが始まるかもしれません。
何か金融庁によって、不動産業界に新たな仕切板みたいなものが作られたような感じです。
各金融機関、生損保険会社、証券会社も進出するわけですが、中でも銀行サンは証券仲介業務をすでに行ない、保険業務についても2007年全面解禁が有力で、今回の信託業務並びに(ここでは、不動産投資商品としての)信託受益権販売業を行なうことにより、総合的に“金融の世界”全体をカバーする立場になるのでしょうか。

こうなったら“銀行株”でも買っておきますか・・・いや、もう少し良く考えてからにしましょう!


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