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恣意的な取引価格


 2010.11

   【恣意:わがまま・自分の思うままに振る舞う心・気ままな考えの意

■日銀の量的緩和策■

先月5日、日銀は新たな基金(5兆円規模…注)で市場に出回るお金の量を増やす金融政策を発表しました。

(注)資金の使い道

国 債

35000億円

企業が運転資金調達のコマーシャルペーパーや社債

1兆円

ETF(4500億円)・J-REIT(500億円)購入

5000億円

5兆円

デフレ退治に効果があるかどうか疑問視されていますが、人々や企業のデフレに対する影響は大変なものですからやってみることは大事です。
新たに買い入れる上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(Jリート)は、国内の信託銀行に購入を委託し、東証株価指数(TOPIX)に連動するETFなども年内にも購入を始め1年間で合計5000億円購入する予定です。

これは考えてみれば凄いことですよ、だって頭から一年で5000億円買うことを決めているのですから。
それにREITの市場規模に対する割合が2%しかないそうで、効果を疑う向きも。
一般の市場原理とは違う発想での買いですから、恣意的な取引価格でしょう。
悪いことだとは思いませんが、自然な状態ではないです。
こんなことが長期化すれば副作用が出てくることは想像できますが・・・
まあ〜取り敢えず、やってみてからまた考えてくれれば!


■金融商品としての価格形成■

知り合いの不動産鑑定士の方から相場を聴かれることがありますよ。
不動産鑑定士の先生は不動産評価のプロではあるけれど、(殆んどの方は)実際に不動産取引を行なっているわけではないので、世俗的な相場観が判りにくいようです。
特に今の取引状況は決して活発とは言えませんから、以前から相場を聴かれることはよくありましたが、ベースになる取引事例自体が少ない状況では取引業者の相場観の必要性は高まっているとも言えるのではないでしょうか。
ところが、不動産の金融商品化が進んだ結果、比較的大規模な物件については物事を“東京“で判断・決定することになってしまいました。
その物件が大阪や神戸であっても、判断するのは“東京”で行なうことで、相場観(勘)に“ずれ”が生じているように感じることがあります。
売値や買値だけでなく、賃料相場や利回りも東京あたりの感覚とはかなり違うものです。
でも、“東京”発の金融力は絶大で、例えば地元の不動産業者が坪500〜600万円位だと思っているのが、データや理論で坪800900万円になったりもします。
また、大企業間の取引で帳簿価格や株価を意識した取引はいわゆる需給関係で決定される市場価格とは違った価格で取引されることがあります。
売主・買主が合意した価格ですから問題はありません。
それが恣意的な価格だったとしても…。
でも、それが取引事例として記録されると周辺の物件価格と掛け離れた“ずれ”が生じます。
不自然な状況が生まれ、目には見えない“東京”のお金の流れに沿ったかたちでないと物事が進まない状態に陥っているかのようです。
今、大阪市内の相場(住宅地以外)はそういう波に飲み込まれている感じで、相場がよく分からなくなっているように思いますが、これを”傍迷惑”と言い切れないところが不動産業者としての辛い所であります。(´‐`)


 
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