【不動産マメ知識コーナー&FPなコーナー】
「モラトリアム法案」と不動産市況
2011.1
昨年の鳩山政権時、(別に嫌いな人ではない)当時の亀井静香大臣が返済猶予をするという法案を誕生させました。
この「モラトリアム法案」について不動産市場はいかに考えるべきか?
不況やリストラで自宅のローン返済が厳しくなった方々には、一定の猶予を与えることによって立ち直りや、生活の建て直しができるでしょう。
事業性融資が返済猶予の対象になるとどうなると予想されていたのでしょうか?
確かに元金を返さなくていいのですからいい話に聞こえるのですが、その後は負担増になりますし、事業を行なっている人は資金繰りに狂騒する自体が待ち受けています。
本来は返済額分、手元に現金が残らないといけないのですがこんな人は滅多におりません。
返済猶予というのは目の前の危機を回避するのが第一の目的で、その後のことはその時でないと分からないのです。
兎に角、猶予期間に景気が回復していると良かったのですが、現状はその反対みたいな感じです。
「百年に一度の世界的経済危機」で企業の経営が苦しいのは判る。それを救うための方策も必要かも知れない。だが、そのために「借金の返済期限を強制的に延長する」などと言う政策は、正常な経済活動を妨げこそすれ助長するとは思われないのです。
昨年から金融機関が担保にとる“不動産”の市場は麻痺しています。返済猶予していると不動産を売却する必要性は激減し、反対に不動産を購入しようと思っている方は、検討できる物件情報がすごく限られたものしかありません。
オマケにファンドの影響力が残っている大型収益物件は売主の利益が確保されない取引をすることはまずないのですから、値交渉の余地もない。
収益不動産の市場は、この不景気にも関わらず特に売り物件が枯渇していて値崩れするどころか、かえって言い値が通りやすい状況になっています。
不動産市況が悪いのは、全体的に景気が悪いこととは別に、この「モラトリアム法案」の影響力があると考えます。
その法律も今年延長するようです。功罪あるとは思いますが、この法律のお陰で不動産の市場は今年も大変厳しいものになることが予想されます。
※頼むから景気対策をもっと一生懸命やってくれ!
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