【不動産マメ知識コーナー】
立ち退き料
2007.3.
10数年前に土地価格が高騰したときには、「地上げ」が大きくクローズアップされてよくニュースになっていました。
今回の不動産価格上昇も「東京」や「大阪」の一部高騰しているところでは、立ち退き交渉が行われていて、場合によっては高額な立ち退き料も発生しているようです。
「立ち退き料」を「立ち退く側」と「立ち退かす側」に分けて考えてみます。
◆ 立ち退く側
「立ち退く側」(立ち退かされる側?)の立場は色々です。
(1)土地(+建物)の所有権を持っている場合
(2)他人の土地の上に建物を所有している場合
(3)建物を賃貸している場合などが通常考えられるケースです。
また一口に“立ち退き料”と言っても、内容は移転費用・営業補償・居住権など複雑ですが、立ち退き料に明快な基準はないので、当事者が必要と思われる金額や納得できるお金で立ち退くかどうかの判断をしなければなりません。
借地権価格は更地価格の6〜7割程度と考えられていますが、建物が“住まい“なのか”店舗“なのか、場所によってはそれが8割になったり5割になったりして違ってきますが、一応路線価図に記載されている借地権割合を確認して下さい。
土地に対する権利…所有権・借地権
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借地権は、建物所有目的の地上権、または土地賃借の権利です。地上権としての借地権は殆んどありませんから、通常は土地の賃貸借です。
また、土地の使用貸借権は、対価を支払わずに土地を利用する権利ですから、借地借家法の適用はありません。
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建物に対する権利…所有権・借家権
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一棟全部の所有権ではない分譲マンションのような部分的な所有権を区分所有権という。
建物を賃借している権利が借家権です。借家権割合は東京・大阪では30%となっています。
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立ち退かす側
「立ち退かす側」の理屈は基本的には大体同じだと思います。
つまり、立ち退き後の利用目的があるから、「立ち退き費用」を払ってまで交渉しているわけです。
主たる目的は建物を建築して収益を生むような、収益用ビルやマンション・分譲マンション販売などが考えられますので、事業主として逆算すれば“立ち退き費用”としての予算は把握できるものです。
その理由からすれば、立ち退かす側には明快な基準があると言えます。
地価高騰時には収益性は増しますから、立ち退き費用もアップできる余地が出来てきます。これが、バブル当時の強烈な地上げの原因でした。
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