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不動産マメ知識コーナー

2020.9.16 

高利回りの民泊投資

 大手民泊投資会社「株式会社ハンドグローイング」が破綻して、多くの投資家が被害にあっているというニュースが。
民泊事業は、ここ数年で急成長した典型的な事業です。
インバウンドの波に乗って、通常のマンション1室5~6万円で賃貸して表面利回り6~7%とします。
民泊事業の場合、仮に外国人旅行者に15,000円で貸してひと月の稼働率80%だとすれば「30日×80%×5000円=120,000円」となります。
表面利回りは賃貸マンションの2倍として、12~14%という計算です。
稼働率を上げたりできればもっと利回りは上がりますし、付加価値を付けて宿泊料金を上げれば更に利回りは上がります。
でも、宿泊事業は一般の賃貸マンションよりも日常的な作業やサービスが必要ですので、経費率は結構高いものとされています。
セミナー商法と呼ばれている「投資家向け」の勉強会風のお話であれば、それは間違いではないでしょう。
でも、実際には教科書の勉強だけでは世の中を渡ってはいけないものですよね。


インバウンドがゼロに

昨年夏の日本と韓国の関係が悪化して、民泊事業はつまずき始めましたが、民泊宿泊者のメインであった中国人観光客の数は韓国人よりも圧倒的に多かったため、民泊用地を仕入れて、民泊用建物を建てることを計画・実行する事業者は後を絶ちませんでした。
マンションよりも利回りが高く設定できるので、土地価格を押し上げる効果があり、大阪市内でもミナミ、梅田周辺は相当な金額での取引がされました。
市内中心部以外でもそのような計画は多数あったようです。
大阪市の「特区民泊」の部屋数は今年1月末時点で11000室超あったそうです。
ところが、新型コロナウィルスの影響を受けて、大阪市でも今年2月以降「特区民泊」の廃止届が3,000室以上出されているそうです。
インバウンドが100⇒0になったのだから、民泊事業の厳しさは想像以上だったと思います。


                 朝日新聞デジタルより

教訓として

「株式会社ハンドグローイング」は、約600の個人・法人投資家から民泊営業に必要な諸費用を受け取り、運営後は毎月の宿泊代から家賃・その他手数料を差し引いて支払うはずでしたが、コロナでインバウンドが枯渇すると架空の数字を作り上げて、投資家をだましていたそうです。
投資家の皆さんは初期投資金額を数年で回収できるという見通しを見事に裏切られたわけです。

昔あった豊田商事「金投資のペーパー商法」と、スルガ銀行「かぼちゃの馬車」を合わせたようなイメージです。
「株式会社ハンドグローイング」は、大阪万博誘致のオフィシャルサポーター企業でもあったし、賃貸新聞などでもユニークな成功企業として取り上げられていた会社でしたから、投資家さんも信用してしまうのも無理はないと思いますね。
ただ、架空の数字を作り始めた時期からは、単なる詐欺商法になってしまったということでしょう。

もし、教訓として覚えておくとすれば、投資による“リターン”を信じ過ぎていたのに、その事業者は最後には尻をまくった人だったということ。

通常のマンション投資でも、「利回り保証します」「年金代わり」とか言っていたのに、気が付けば次から次から費用ばかりを請求されて、挙句の果てに「(安く)売りましょう」なんていう不動産業者に騙される人も沢山いらっしゃいます。

本当に、新型コロナウィルスは色々なことを教えてくれます。

人生はやっぱりいい人と出会わないと、いけないと思います。

 

 


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