勘違いしてはいけない、「住宅ローン減税」】 2004.1


年の暮れになると恒例行事になっています“来年度の税制がどうなるのか”のニュースが一段落すると、お正月を迎えることになります。
税制改正は「不動産」にとっても大きな影響がありますので、「不動産」そのものの見極めとは別に、特に所有する場合は将来的に税制がどう変っても持ち堪えられるかを心の何処かで覚悟しておく必要があります。

例えばバブル期のマンション投資ブームの時は、収支上の損失を丸ごと給与所得と通算できたので、キャピタル狙いのサラリーマン投資家の購入意欲に拍車をかけていましたが、税制が変り現在のような部分的損益通算になり、結果的に無理な投資をした購入者の自己破産、片やその販売業者の破綻という社会問題にまで発展しました。

それほど税制の変更は、「不動産」に影響力を持つものです。

来年度の税制改正の内容が固まり、一般的にも身近な「住宅ローン減税」も現行のまま1年間延長に落ち着きました。

前述の投資用マンションで損失を被ったような人向けの救済策であった売却損の他所得との通算が出来なくなると言いう改正案や譲渡益課税の税率引き下げというのもありますが、それはまた別の機会に取上げる事にします。

新聞等ではローン残高(5000万円)の1%が10年間で最高控除額500万円という表現ですから、減税額が半分になったりしてしまうと250万円も損をするような感じでした。
ましてや平成20年(2008年)の入居に至っては、最大控除額が160万円にまで下がりますので、何か早く買わないとすごく損をする気がしたりします。

でも現在の最大控除額500万円その金額はローン残高が購入後10年間ずっと5000万円以上で、所得税を10年間50万円以上払っていれば該当しますが、日本の給与所得者の平均値である税込み年収500〜600万円(注1)クラスの場合は残念ながらそうはなりません。

最近では大阪の住宅も安くなりましたので、販売業者の話によると住宅購入者の所得層もかなり下がってきていて、《年収300万円・頭金なし・初めての不動産購入者》の方でも充分ターゲットになっているそうですし、反対に新築・中古問わず5000万円以上する高額物件自体が少ない状態でもあります。

※年間所得3000万円以下の個人が対象と言う条件もあります。                   

そうなると、現実的には年間50万円の住宅ローン控除の対象者はあまりいないことになります。


住宅ローン減税の縮小スケジュール(注2)は、@ローン残高の上限とA控除する率の2面からなりますが、残高上限は5000万円が徐々に下がり2000万に、控除期間は10年間と同じですが控除率1%が半分(0.5%)になる時期が最終的に8年目に早まります。

   
試しに2800万のローンを組んで、今年と2年後購入・入居のケースとどれほどの影響があるのか見てみると…

※年収600万円・妻(無職)と2人暮らし・返済期間30年の新築マンション・ローン残高・所得等10年間変更がないものとして考えます・所得税額は概算金額です

平成16年(2004年)の入居

年間所得税20万円×10年間
…合計控除額200万円

平成18年(2006年)の入居

年間所得税20万円として
当初7年間140万円/残り3年間42万円
…合計控除額182万円


   
単純に10年で18万円の差額、1年当りで1万8千円となります。

ちなみに、2800万円のローン残高があっても、この例のように所得税が20万円とすればその1%相当額28万円を控除できませんので、念のため。

上記の例でいくと年間1万8千円の税額控除の差額ですが、確かに貴重な数値ではありますが、その為に今年中に住宅を買わないと行けないと言う問題とは違うはずです。

不動産はあまり慎重でも購入のチャンスを逸してしまうこともありますが、
そうかと言って軽々に買うものでもないので、

ご家族でよく相談してイイ物件をイイ時期に購入 してください!

(注1)

個人事業主の所得を把握するのはサラリーマンの人に比べて難しい。国税庁によるとサラリーマンの平均給与は447万円強(賞与含む・パート等含む・男性548万円・女性227万・2002)、厚生労働省の調査では1世帯当りの平均所得額は602万円(2001年)となっていて、先の600万円の感覚はこの数値に基づくものです。

(注2)

平成16年度税制改正大綱 (平成15年12月17日 自民党・公明党案より)

居住年

控除期間

住宅借入金等の年末残高

適用年・控除率

平成16年

10年間

5000万円以下の部分

1年目から10年目まで 1%

平成17年

同 上

4000万円以下の部分

1年目から 8年目まで 1%
9年目から10年目    0.5   

平成18年

同 上

3000万円以下の部分

1年目から 7年目まで 1%
8年目から10年目    0.5

平成19年

同 上

2500万円以下の部分

1年目から 6年目まで 1%
7年目から10年目    0.5

平成20年

同 上

2000万円以下の部分

1年目から 6年目まで 1%
7年目から10年目    0.5