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  【えっ!不動産所得が廃止?】 2005.7.
政府税制調査会(首相の諮問機関)の報告書621日発表され、特にサラリーマンの負担増の方針を出したことで、私自身はサラリーマンではないけれども、働いている殆んどの人が増税になれば、世の中全体が大きく変化する訳ですから、やっぱり心配になります。
同報告書には所得税の税率や各種所得控除の見直しなどとともに、“不動産所得の廃止”案も盛り込まれていて、これは不動産投資に直接に影響を与えることですから、絶対に無関心ではいられません。
そもそも今の所得区分(注1)は10種類あって結構複雑なのですが、サラリーマンの方が、投資用マンションを取得して賃貸した場合、その所得が不動産所得でなく(予想される)雑所得になると何が問題なのでしょうか?

(注1)  所得を10種類に分けて、各所得ごとに計算方法が異なります。

利子所得

預貯金などの利子収入金額

配当所得

株式・投資信託等の配当・分配金―借入金の利子

不動産所得

家賃等の収入金額―減価償却費や固都税等の必要経費

事業所得

事業による収入金額―必要経費

給与所得

給与・賞与の金額―給与所得控除

退職所得

(退職金―退職所得控除)×1/2

山林所得

山林の譲渡・伐採収入―取得費・特別控除額

譲渡所得

譲渡による収入金額―取得費・譲渡費用・特別控除

一時所得

懸賞金や保険金―収入を得るために支出した金額・特別控除額

雑所得

公的年金や上記以外の収入―公的年金等控除額や収入の為の費用

各種所得の金額の計算上生じた損失の金額は、「損益通算できるもの」と「できないもの」があります。
【現在、不動産所得の損失は、土地部分に対する借入金利息を損益通算通算の対象外とするので、以前ほど損益通算の効果は得られなくなっています。】

損益通算できるもの

損益通算できないもの

不動産所得の損失

事業所得の損失

山林所得の損失

譲渡所得の損失(注2)

配当所得の損失

一時所得の損失

雑所得の損失

そして“損益通算”は、投資用マンションの販売会社が購入者に対してマンション投資のメリットとしてアピールしている制度の内の一つです。
下表のように購入時には経年の経費以外の出費がありますので、最近の物件価格・利回りを考えれば購入者のほとんどは赤字になると思います。
特に年の途中で購入すれば、収入自体がそれだけ少なくなって、一層収入を経費が上回ることになります。
だから、『それを確定申告して税金を取り戻す』なんて、宣伝しているところもあるのです。
又、毎年の減価償却費や元利均等返済等の借入金利も当初の金額は大きくて、節税効果を期待できる部分もあります。
(ただそれも徐々に低下していくもので、そのままでは単に所得が増えてしまいますが…)


購入時に必要な経費として

   登録免許税

   不動産取得税

   購入時の仲介手数料(新築の場合不要)


毎年必要となる経費として

   入居者確保の為の仲介手数料・広告料

   固定資産税・都市計画税

   建物減価償却費

   借入金利息

   管理費・雑費

現状の解釈でいけば「雑所得」になると、損益通算が出来なくなります。
事業規模とみなされる「510室」(注3)の基準を満たしている投資家のケースでは、「事業所得」になると予想しますが、経済雑誌などで“プチ大家さん”とか呼ばれているマンション投資家や、これから投資用物件を検討しようとする皆さんは、これまで以上に慎重になる必要がありそうですし、少なくとも、無理してまで購入する必要はありません。
不動産投資は政策的・政治的要因に大きく左右されることは、バブル時の金融政策の失敗や、不良債権処理の様々な政策で個人のみならず社会全体が大きく揺さぶられたことを嫌というほど経験しました。
損する場合も、得する場合もその振り子の幅はかなり大きなものになりますので、今後の環境の変化次第では結構大変な人も出て来るはずです。
逆説的に言うと、こういう時期が一番不動産の魅力を感じられる時なのかも知れません…。


(注2)■譲渡所得の損失■…土地建物等の譲渡

平成1611日から土地建物等の譲渡による損失は、他の所得との損益通算ができなくなったが、居住用財産の譲渡損失については損益通算が可能な場合もあります。


(注3)■事業規模か否かの判定■
      →
絶対に510室でないといけないわけではない!

「実質基準」社会通念上、事業といえる程度かどうか。例えば、1つの建物の貸付を行っているが、その規模が非常に大きなもので、収入状況管理状況が事業と考えるに値する場合
「形式基準」建物の貸付を5棟以上又は10室以上あるような場合。土地の貸付は貸地1件を例えば0.5件として計算したりして、事業規模かどうかを考える。

 

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