マンション投資と他の投資商品との比較  <2002.7>

自己責任と資産運用の時代と言われて"お金"がどっちを向いて動いていくのか注目されていましたが、案外『株式』に投資する動きはなく、意外(?)にも『マンション投資』(注1)に脚光が浴びています。
本当のところ、次に挙げたような4種類 【国債・株・金・不動産】を比較することは非常に無理のあることだと思います。
しかしながら、皆さんは日々それぞれの頭と心の中で判断し、それぞれの資産運用を選択しているはずです。
そんなときの御参考になればと思い、あえて試算してみました。
(注1)今回は別に【不動産マメ知識コーナー】で『マンション投資は危ないのか!―ペイオフ対策・年金になりえるのか−』を扱ってみましたので併せてご覧下さい。
4種類投資の前提条件
               投資期間        10年間
               キャピタルゲイン(売却益)はゼロ
               個人投資家で、他の収入・所得を考慮しない 
≪国債≫
女優の藤原紀香さんがCMにも起用されている国債は、 国が発行する債券で、信用度は全ての債券の中で最も高く、満期まで保有すれば元本が保証されます。利付国債と割引国債があり、償還差益が雑所得とされますが、次のような違いがあります。
割引国債 - 発行時に18%の源泉分離課税のみで課税関係は終了します。
利付国債 - 利子に対して20%の一律源泉分離課税とされ、「マル優適格」です。
今回は、利付国債(マル優でない場合)で利回り1.5%とします。
1.5%×20%(所得税15%地方税5%)=0.3%
1.5%−0.3%=1.2%
この場合の税引後投資収益率は1.2%となります。
≪株≫
時と共に値が動くのが株式であります。よく株で儲けたと言いますが、それはキャピタルゲイン(売却益)のことであり、今までは保有していて配当で儲かったということはまずありませんでした。
しかし、最近では配当利回り[(1株あたり配当金)÷(株価)]が高くなってきています。注意しないといけないのは株価が下がると配当利回りは上昇することです。
また、購入時と売却時に証券会社に売買手数料が必要です。 
<配当を受けた時>

申告不要制度-1銘柄につき年10万円以下の配当については、支払時20%の源泉徴収だけで確定申告は不要です。
源泉分離課税制度-1銘柄につき10万円超50万円未満かつ所有株数が発行済株式総数の5%未満の場合、35%の源泉分離課税が選択できます。
総合課税制度-1または2の適用を受けない場合、あるいは1銘柄50万円以上またはその会社の発行済株式総数の5%以上を所有する場合は他の所得と合算して確定申告することになります。
ここでは、配当利回りを2%として、上記の申告不要制度を使って計算してみます。
2%×20%=0.4%
売買手数料は0.8%の2倍(売と買)で1.6%相当額として計算しました。それを、10年で割る1年当で0.16%となる。
2%−(0.4%+0.16%)=1.44%
この場合は、税引き後の利回りは1.44%となります。
≪金≫
金にはインカムゲインは無く、キャピタルゲインしかありません。
サラリーマンなどが持っている金地金を売却した場合の所得は、原則として譲渡所得です。給料など他の所得と合わせて総合課税の対象になります。
所有期間5年以内と5年超では計算が違います。
(まぁ、金を買って5年以内に売ろうと考えている人は少ないと思いますが・・)
≪不動産投資(ワンルームマンション)≫
購 入 価 格  1500万円(消費税込み)
年間賃料90万円 年間費用(管理費等)26万円
∴表面利回り 6%(=90万円÷1500万円×100)
固定資産税評価額  800万円 (建物700万円+土地100万円)
(課税標準価格に同じとする)
{購入時諸費用}

     不動産取得税 建物700万円×3%   =21万円
               土地100万円×1/2×3%=1.5万円
     登録免許税  建物700万円×5%    =35万円
               土地100万円×1/3×5%=1.7万円
     印紙税                       1.5万円  
     計                          60.7万円
■60.7万円÷1500万円×100÷10年=0.4%

{保有時諸費用}

    固定資産税
          建物700万円×1.4%    =9.8万円
          土地100万円×1/6×1.4%=0.2万円
    都市計画税
          建物700万円×0.3%    =2.1万円
          土地100万円×1/3×0.3%=0.1万円 
    計                       12.2万円

    年間費用(前述) 26万円

■(12.2万円+26万円)÷1500万円×100=2.5%
ここで減価償却費について・・・・チョット節税
【所得=収入―必要経費】   必要経費を増やすことによって所得が減り、結果として支払う税金が減るわけですが、減価償却費は実際の支出がないのに経費として認められています。建物やその設備は取得時に全額経費ではなく、使用可能期(耐用年数)によって経費計上することが定められています。
耐用年数では、鉄筋コンクリート造は47年、鉄骨造(肉厚4o超)で34年であり、鉄骨造の方が償却が早い。

{減価償却費}

建物本体 (仮に)600万円×90%×0.022=11.88万円
建物設備 (仮に)100万円×90%×0.066= 5.94万円
 計          11.88万円+5.94万円=17.82万円
■17.82万円÷1500万円×100=1.188%

最終的に取得時費用の10分の1(1年当)と、保有時の費用を前記表面利回り6%から差し引くが、減価償却費前で投資利回りは・・・・
6%−(0.4%+2.5%)=3.1%

■減価償却後の投資利回りは、1.91%(=3.1%−1.188%)となる。

収益への課税は総合課税されますので、ここでは上記の数値にとどめることにしました。


不動産所得については、【不動産マメ知識コーナー】の≪マンション投資は危なくないのか!―節税としての不動産効果―≫を併せてご覧下さい。

まとめ

売却益(損)を考慮しないという前提では有りますが、国債1.2%、株1.44%、金0%、ワンルーム不動産投資3.1%という利回り検証結果がでました。
ただ、≪株≫のコーナーでも触れましたが、株価の下落が利回りを上げているとも云えるので、配当利回り2%の前提が高すぎたかもしれません。
≪国債≫は確実性と換金性に優れていますが、面白みは無いかもしれません。
≪金≫は、長期保有の財産として認められていますが、利回りや配当と言った観点の商品ではありませんし、全財産の半数以上を占めるような保有も考え難い商品です。“リスク分散の隠し味”と言ったところでしょうか。
≪不動産投資(ワンルームマンションの場合)≫
今回の検証では、不動産投資の優位性が数値に表れました。(但し、入居者の確保は絶対条件であります・・)従来、不動産投資といえば≪株≫と同様に値上り益を狙ったものでしたが、現在では利回り商品としての性格を持つようになったわけです。度々お話しておりますが、不動産は将来老朽化したり、売却したりするときのことを考えておかなくてはなりません。不動産投資は自らのライフプランを考慮して検討し、将来不動産を処分するときの状況によっては、キャピタルロス(売却損)さえも、投資効果の1つになることを押えておきましょう。