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生命保険の加入基準について(法人編)

 2004.5.

   生命保険は個人で入ろうと、法人で入ろうと商品自体に変りはありません

 今回のテーマは個人編(2002.12に続き、先回(2004.4)【経営者の『生命保険』契約は会社名義で!?】の補足の
意味もあって法人保険はどういう基準で幾ら位入ればいいのかを取上げました。


経営者の生命保険加入目的は、凡そ次の項目に絞られると考えます。

万が一の時の「従業員の生活・取引先との関係・借入金の返済」は…

事業保障対策

万が一の時の「遺族の生活費」は…

死亡退職金・弔慰金対策

勇退後の「生活資金の準備」は…

勇退退職金対策

後継者に負担の少ない「納税準備」

相続・事業承継対策

日本の161万8千企業(平成13年総務省統計局調)の内、資本金3千万円未満の企業が9割以上で殆どが中小企業の部類であり、全体の95%が同族会社と言われています。オーナー経営者の個人と会社との関係が、切っても切れない関係だと言う事が分かります。


事業保障対策としての生命保険

生命保険会社のパンフレットなどでよく見かける計算式ですが…

借入金相当額×1.7倍+従業員年間給与総額×1年分=事業保障対策資金

ここでは概ね1年間でスムーズに後継者に事業を継承することを予定し、その間の資金を生命保険で確保することとしています。
ですから1年分のところは、半年分でも2年分でも加入者の判断により決まります。
1.7倍の意味は受取保険金が雑収入となるため、それを借入金返済に充当しても損金処理できないため、法人税等が課税されその実効税率約41%を逆算して、借入金相当額の約1.7倍として計算したものです。

死亡退職金・弔慰金対策としての生命保険

残されたご家族の生活資金の確保・相続税等の納税資金・遺産分割利用は、個人の生命保険でも対応できますが、死亡退職金・弔慰金として会社が負担すると税制上のメリットがあることは先回取上げた通りです。

     死亡退職金・弔慰金は原則損金参入できます。
     相続税法上の非課税枠

【死亡退職金の場合】

500万円×法定相続人数

【弔慰金の場合】(注1)

業務上の死亡:最終報酬月額×36ヶ月分

業務外の死亡:最終報酬月額× 6ヶ月分

最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率(+功労金)=死亡退職金対策資金           

(他に社長・専務・取締役などの在任年数ごとに計算する方法などもあります。)

最終報酬月額×弔慰金支払月数(注1)      =弔慰金対策資金

一般従業員の退職金は法的権利と認められていて、常時10名以上雇用している経営者はその規程・協約を労働基準監督局に届ける義務があります。
経営者の場合は、法的権利はないので取締役会や株主総会の決議等が必要で、その後退職金が支払われることになり、その為には、役員退職金規程を設けておいた方が安心です。(規程があるから支払が確定する訳ではありません。)
弔慰金規程も同様の扱いとなります。

勇退退職金対策としての生命保険

一般社員と同様に勇退退職金は、リタイヤ後の資金として在職中から計算できるものです。
その意味で計画的に準備することが可能で、反対に“付け焼刃では間に合わない”ものです。

最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率=勇退退職金対策資金

     原則として損金参入できます。
     「退職所得」として受け取った場合、他の所得と分離課税されますし、控除額も大きい。
※ 功績倍率は通常1.03.0の範囲です。

相続・事業承継対策としての生命保険

会社が成長し、成熟し、後継者問題や相続税対策を考える時に、現金の必要性を感じることがあると思います。
経営者の財産が自社株(特に上場していない場合)や不動産で占められている比率が高い場合、その換金が迅速に運ぶとは言い切れず、生命保険で『現金』の準備するのが有効です。勿論、相続対策は経営者個人が準備しておくべきものでありますが、中小企業の場合は、社長個人が会社そのものである場合も多く、社歴の古い会社などで古くから所有していた土地や建物が現在では結構な評価額になっているのもかかわらず、業績はここのところ振るわず、借入金ばかりが目立ってしまうような場合もあるでしょう。その為、不動産だけでなく自社株の評価も案外高額なことになったりしていて、個人の相続だけでなく事業の継続にも支障をきたすことになります。生命保険はリストラ・合理化の流の中で、「見直し」の格好の標的になっています。「見直し」を糸口にした新たなる商品の売込を受けることなく、個人編同様、余裕があれば加入保険の増額等を検討し、現状が内容的・金額的に不都合だと解かったら本当に必要だと思う保険を中心に色々肉付けして見ることが肝心だと思います。


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