J-REIT/銘柄選定思案2005.4.

この4年間でJ-REITの保有する物件は400棟を超え、今月の「不動産マメ知識コーナー」で取り上げたように頻繁に物件購入と、数は少ないけれどもそれなりの売却も行われています。

通常、大振りの不動産売買をこれだけ短期間に行うのは、ものすごいエネルギーが必要です。

仮にそれがよく耳にするような政策的な取引だったとしても、それはそれですごい仕事量に違いありません。

そのような忙しく動くファンドの中身を、個人投資家が吟味することはまず不可能です。

J-REITは、投資家が“目を瞑って投資する”ための商品なのかどうかは別としても、例えば証券会社の営業マンが、個別銘柄の個々の物件について詳しく説明できるような金融商品でないことは間違いありません。

それでもJ-REITの特徴とされる“ミドルリスク、ミドルリターン”を享受するとすれば、何かわかりやすい判断基準はないのだろうかと考えてみました。

一般の人でも、各銘柄の借入金比率、保有物件の数や種類、地域を比較するくらいならできそうですし、それに主たる出資者が把握できれば、各銘柄のイメージを固めることはできると思います。

このイメージは各ファンド内の物件の出し入れに関わらず、短期間で大きくは変わらないものでしょう。

 ■借入金について

J-REITの借入金利は結構低利(長短ひっくるめて1%以下〜1%後半)らしくて羨ましいのですが、今後はそれなりに上昇する場面もあろうかと思われます。

それなら借入金の少ないことは、投資家が安心できる材料のひとつになるはずです。(注1)

借入金比率

銘柄数

50%超

4

40%後半

4

40%前半〜30%後半

4

30%前半〜20%後半

3

0%

1

       概ね3月後半の資料

(注1)        レバレッジ効果について

資 産 

負債

資本

その不動産の運用利回りが調達金利より高ければ、自己資金の負担は軽いことから、借入金が多くても運用効率はアップし、利回りの確保に寄与する。

これをレバレッジ(てこ)が利いている状態という。

不動産に関わる調達金利が1%から2%に上昇すると、家賃収入が変わらないとすると投資家に対する配当はその分下がる。

将来的に借入金利が上昇するとすれば、適当な配当を確保するためにはその借入額を少なくする必要性が出てくる。

バブル期のように売却益が十分得られる局面の場合は、運用利回<借入金利はどうってことないのですが、それは考えないことにしましょう。

 

■物件について

保有物件数は多い方がいいように思いますが、J-REITというよりT-REIT(勿論、TTOKYOの意)とも言えるほど殆どの物件が東京圏にありますので、現状では広義の分散投資とは言えない部分もあります。

これからJ-REITは東京圏以外の物件を組み入れるケースも増えるようですし、住居系や商業店舗系を組み入れるものもあります。

現物不動産投資(特に一棟)でもマンション、オフィスビル、商業ビルを購入する人のスタンスは最初から違っているものです。

予算は同じであっても、「マンションは要らない…ビルが欲しい」って言う人もいれば、「どうしてもマンションが欲しい」って言う人もいらっしゃいます。

各購入者の趣味、嗜好、経験から来るものでしょうか、何故そういうことになるのか分かりません。(注2

J-REIT全銘柄のタイプ別の比率は、大よそ【オフィス70:住居20:店舗他10】くらいで、今後量的にも徐々に住居系の物件が増えてくるようです。

(注2) 【現物不動産投資での一般的な考え方】

住居系

ローリスク・ローリターン

オフィス系

ミドルリスク・ミドルリターン  

商業系

ハイリスク・ハイリターン

それに各銘柄内でオフィスに特化したものを中心にして、住居を混ぜたもの、ホテルを混ぜたもの、住居だけのものなどに分かれていて、それなりの個性が出ているようです。

そこで問題なのが稼働率です。

押並べてオフィス系の稼働率が高いようですが、住居系の稼働率が低くてもそれは入居サイクルがオフィスに比較して短いため、短いスパンで見ると一定の空室率は覚悟しないといけない。

ただ、一般的にオフィスは一旦空き状態になると、次のテナントが決まるまでにそれなりの時間が必要であると考えられますから、中長期で見ないとどちらが優勢かは微妙なところもあります。

-REITのオフィス・店舗のテナントは大企業がほとんどですが、住居系のベースはあくまで個人です。とすれば、住居系は家賃を下げればなんとか入居者を確保できると考えられますが、オフィスは家賃を下げたからといってテナントを確保できるというほど単純なものでなく、大きな経済環境や景気変動に左右されるところが大きい。

ただ、住居は築年数が経てば賃料は下がる傾向があるけれども、オフィスは築年数よりも立地によって賃料が大きく変わるという特徴もあります。

現物不動産投資においては、商業系についてはハイリスク・ハイリターンと思われているが、J-REITの各銘柄では定期借家契約・信用力などでテナント退去に対するリスクを軽減しているようです。